今はスマホひとつで、産後の骨盤や腰痛に関する情報が山ほど手に入る時代です。
「産後は骨盤が開いているから、骨盤矯正をすれば腰痛が治る」——そんな記事や広告を、一度は見たことがあるのではないでしょうか。
でも、実際に産後骨盤矯正で来院されるママたちとお話しすると、「骨盤さえ整えれば腰痛はスッキリなくなる」と信じて来られる方が本当に多いのです。
私は整体師として、その思い込みをやさしく解いてあげたいといつも感じています。

なぜ骨盤矯正だけでは不十分なのか
出産後の体は、見た目以上に変化しています。
確かに、妊娠・出産によって骨盤は開き、筋肉や靭帯はゆるみます。骨盤矯正をすることで姿勢やバランスが整い、腰への負担が減ることは間違いありません。
しかし、腰痛の原因は骨盤の位置だけではないのです。
出産後しばらくの間は、リラキシンというホルモンの影響で靭帯が柔らかい状態が続きます。このホルモンは、骨盤の関節部分だけでなく、全身の靭帯にも影響を与えます。
つまり、骨盤だけを整えても、その周囲の筋肉や靭帯のサポートが弱いままでは、またすぐに負担がかかってしまうのです。
腰痛を悪化させる「産後の生活パターン」
さらに、産後の腰痛には生活習慣が大きく関わっています。
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長時間の授乳:前かがみの姿勢が続き、腰・背中・肩に負担
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抱っこやおんぶ:骨盤だけでなく、腕・肩・腰の筋肉が常に緊張
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寝不足:体の回復力が低下し、炎症や疲労が取れにくい
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家事との両立:料理・掃除・洗濯などで中腰やひねり動作が多発
こうした毎日の積み重ねが、骨盤矯正で一時的に改善したはずの状態を、また元に戻してしまいます。
「骨盤+生活改善」が腰痛改善の近道
私が考える腰痛改善の基本は、「骨盤を整える」ことと同じくらい、「整えた骨盤を維持できる生活習慣」を作ることです。
例えば…
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授乳時は背もたれやクッションを使って腰への負担を減らす
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抱っこ紐の位置や締め方を見直す
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家事のときは腰をかがめず、膝を曲げて動く
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寝返りや起き上がるときに、腰をひねらない動作を意識する
こうした日常の工夫を加えることで、骨盤矯正の効果が長持ちし、腰痛の改善が早くなります。
骨盤矯正は「魔法の施術」ではない
骨盤矯正は、決して魔法ではありません。
施術を受けた直後はスッキリしても、生活の中で同じ姿勢や動作を繰り返せば、また元の状態に戻ってしまいます。
つまり、本当に大事なのは「施術で整えた体を、どうやって保つか」ということを我々施術者が伝えてあげることなのです。
そしてそのことを、ママ自身が生活の中で少しずつ意識していくしかありません。私たち施術者は、そのための知識や方法をお伝えし、サポートする役割を担っています。
最後に
産後の腰痛を根本から改善するには、骨盤矯正だけに頼らないことです。
ホルモンバランス、筋肉の使い方、育児や家事の動作、そして睡眠や食事など、体全体の状態を見直す必要があります。
骨盤矯正はあくまでスタート地点です。
その先にある「体を守る生活習慣」を身につけてこそ、腰痛のない快適な毎日が戻ってきます。
もし今、「骨盤矯正をしても良くならない」と感じているママは、ぜひ一度、日常の動作や習慣を一緒に見直してみませんか?
あなたの体は、もっとラクになれるはずです。
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