産後に多い“足の親指のしびれ”の正体|L5神経障害と骨盤矯正の関係

産後骨盤矯正で、現在対応したひとつで右足の親指のしびれというものがあります。

 

右足の親指のしびれという症状は、腰椎椎間板ヘルニア(特にL4/L5やL5/S1のレベル)による神経根の圧迫で起こる典型的な神経症状の一つです。

 

このような場合、骨盤矯正や整体として関与できる範囲と、医学的介入が必要な境界を正確に見極めながら、安全かつ根拠ある説明と施術を行うことが重要です。

 

さいわい、この方は整形外科での診断はすんでいるので、私も安心して骨盤矯正を行うことが出来ます。

 

 

■ 症状の神経学的な理解

◆L5神経根の障害は、典型的に以下の症状を引き起こします

 

● 足の親指(母趾)のしびれ・感覚鈍麻

足の甲の感覚異常(外果〜第1中足骨の背側)

足の背屈(特に母趾背屈)の筋力低下(長母趾伸筋)

まれに軽度の腓骨筋麻痺(足関節の外反が弱くなる)

 

つまり、L5神経根の機能が損なわれると、母趾~足背の感覚・運動に異常が生じます。これは神経根支配の解剖学に基づいた整合的な所見です。

 

腰痛5番障害

■ 整体で治療対象とすべき主な原因とアプローチ

椎間板の直接的な修復は医療領域ですが、「神経根への圧迫を間接的に軽減する」目的で以下の施術が有効です。

 

骨盤の前傾・後傾のバランス調整

特に産後は骨盤が後傾+左右差(寛骨の開きや仙腸関節の不安定)を起こしやすく、また前屈みになる育児姿勢により、腰椎の配列異常を引き起こしやすくなります。

 

後傾しすぎた骨盤 → 腰椎のカーブが失われ、L5/S1の椎間に負荷が集中 → 神経根の圧迫を誘発。

 

💡骨盤の前後傾を適正化

💡仙腸関節に対しての関節モビリゼーションや筋膜リリース

 

 

梨状筋・中臀筋の緊張緩和

💡坐骨神経周囲の過緊張(とくに梨状筋)が神経に二次的な絞扼を引き起こす

💡産後は中臀筋の機能低下 → 代償的に梨状筋過緊張 → 坐骨神経圧迫

 

 

■ セルフケアの提案

【1】マッケンジー体操の腰椎伸展体操(L5/S1除圧)

うつ伏せでの「コブラのポーズ」または「肘立て伏臥位」からスタート

段階的に腰椎の伸展可動域を広げ、椎間板の後方ヘルニアを前方へ戻す動作

 

頻度は 1セット30秒~2分、朝・昼・晩の3回。

 

 

痛みやしびれが増悪する場合は中止

 

 

【2】梨状筋ストレッチ

仰向けになり、右足を左膝にかけて股関節外旋位

両手で左膝を抱えて胸の方へ引き寄せる(右のお尻が伸びる)

 

頻度は 1セット30秒、朝・昼・晩の3回。それ以上してもOKです。

 

 

しびれが増強する角度ではなく、「伸びて気持ち良い範囲」で実施

 

 

【3】腹横筋・骨盤底筋のコア活性エクササイズ

💡仰向けで膝立ち、ドローイン(お腹をへこませて呼吸)

💡同時に骨盤底を引き上げる意識(尿を我慢する感覚)

 

❗効果

腰椎の不安定性を防ぎ、神経根への圧迫軽減を図る

 

 

 

■ 整体院としての見解と安全ライン

【対応可能な範囲】

✅軽度~中等度の神経症状で、筋力低下・感覚消失が明確でない

✅MRI未実施でも、神経学的テスト(SLR、腱反射、感覚評価)で重篤性がない

 

 

【医療機関受診を勧めるべき場合】

母趾背屈が不能(筋力0〜1)→長母趾伸筋麻痺

感覚完全消失または進行性のしびれ

排尿・排便障害(馬尾症候群の兆候)

 

 

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